雑種犬の頚部に発生した軟部組織肉腫の治療について

前回に続き、にこちゃんの治療経過をご報告します。

                にこちゃん  保護犬 推定11歳齢

                 術前CT検査画像より構築した3D画像

               術中写真:腫瘤を食道、頸動脈、気管から剥離した

飼い主様に、「腫瘤のみ切除する治療プラン」をご提案しご承諾頂きました。

上記に示した臓器への腫瘤の癒着が予想されましたが、

手術所見として、癒着は軽度であり比較的安全に腫瘤の切除が可能でした。

全身麻酔からの回復も比較的スムーズで、術後の全身状態は安定していましたが、

高侵襲な手術であったため、術後24時間管理を実施しました。

頚部の手術の際、「術後の嚥下障害」が生じる可能性があり、

術後翌日に、「バリウムを用いた造影画像検査」を実施しました。

                 術後24時間でのレントゲン造影検査画像

レントゲン検査結果より、嚥下障害は認められなかったため少量の給餌を開始しました。

院内では、少量食べる程であった為入院のストレスも考慮し、術後4日目で通院での治療へ変更しました。

               術後3日目 院内でササミを食べるまで回復した様子

退院後、指示治療を継続し術後6日目には、食欲の完全な回復が認められました。

病理組織検査結果は、「血管周皮腫」と診断され、かなり大型の腫瘤でしたが

腫瘍の取り残しがなく、腫瘍の完全切除(サージカルマージンの確保)が確認れました。

           

今回の診断〜治療、術後の回復まで比較的スムーズでした。

一重に、飼い主様の治療へのご理解とご協力および、にこちゃんの生きる力のお陰と考えています。

当院では、腫瘍に対する治療も積極的に取り組んでおります。

「治療した結果、獲れるものは何か?、本当にこの子達に必要なものは何か?」を

しっかりと、飼い主様とご相談した上で最終的に治療方針を決定しております。

飼い主様が、ご自宅のわんちゃんねこちゃんにどのような治療が適切なのか

悩まれる事とは、少なくないと思います。

当院では、飼い主様が治療内容にご納得頂けるまで、ご説明することを心がけております。

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