直腸脱と診断されていたキャバリア

今回は、他院にて「直腸脱」と診断されていた

キャバリア 笑ちゃんが術後検診でご来院されたためご紹介します。

                       笑ちゃん           

             キャバリアキング・チャールズスパニエル 6歳  去勢雄  

若齢時より、「直腸脱」(脱腸)があるため、散歩などの運動制限を指示されていたようでした。

当院を受診し、現在に至るまでの経過を伺い身体検査をした結果

「直腸脱」ではなく、「直腸粘膜に発生したポリープ」が肛門より出ていました。

               写真上方が尾。肛門よりポリープが露出。

直腸脱と直腸粘膜ポリープでは治療方法が全く異なります。

笑ちゃんの場合は後者であったため、検査治療方法を飼い主様にご説明し

直腸粘膜ポリープの切除と大腸内に他のポリープが無いかの確認のため、内視鏡検査を実施しました。

                     切除前のポリープ

                  切除後に直腸粘膜の縫合を実施

      大腸内視鏡検査画像。画像左上部に回盲弁が確認できる(大腸と小腸の接続部)

内視鏡検査では、その他の大腸にポリープは確認されませんでした。

画像上異常がなかったとしても正常な大腸とは言い切れません。

大腸粘膜の生検も同時に行い、病理組織検査を実施しました。

内視鏡検査、ポリープ切除は全身麻酔下で実施し、処置時間は1時間ほどで終了しました。

全身麻酔後の回復も比較的スムーズであったため、

翌日再診に来て頂くことを前提に同日に退院しました。

退院翌日は、食欲活動性も問題ないとのことでした。

病理組織検査結果として

直腸粘膜ポリープは「大腸腺癌」

大腸粘膜は「慢性大腸炎」と診断されました。

大腸腺癌は、犬の大腸腫瘍において悪性腫瘍に分類されます。

病理組織検査の結果から腫瘍は完全に切除されていたため、追加治療の必要はありませんでした。

術後検診にて直腸検査、超音波検査を実施し、腫瘍の再発やリンパ節への転移は認められませんでした。

今後も、定期的に検診を実施していく予定です。

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