消化管腫瘍〜小細胞性リンパ腫の診断と治療

今回は、中高齢の犬や猫で発生の多い消化管腫瘍である小細胞性リンパ腫の診断と治療をご紹介します。

  1. 小細胞性リンパ腫とは
  2. 診断方法
  3. 治療方法
  4. 予後(治療後の見通し)

1.小細胞性リンパ腫とは

犬や猫の消化管(主に小腸)で発生の多い悪性です。

この病気が発生した際に

「食欲がない」「痩せてきた」「最近、よく嘔吐する」「軟便〜下痢が治らない」など消化器症状が認められます。

飼い主様が、ご自宅で気付かれやすい症状を示すことが比較的多いです。

また、この病態は消化管に大きな腫瘤(しこり)が形成されず

消化管の粘膜に腫瘍細胞が浸潤するケースがほとんどです。

2.診断方法

血液検査、超音波検査、内視鏡検査を実施します。

血液検査

小細胞性リンパ腫に罹患した場合、アルブミン(血液中の栄養蛋白)が低下する傾向にあります。

その原因として、消化管粘膜に腫瘍細胞が浸潤することから食べ物からの栄養吸収が困難となります。

また、当院で小細胞性リンパ腫と診断された症例のうち、50%の症例でアルブミンの低下が認められました。

超音波検査

消化管構造の異常(粘膜、筋層、漿膜などの層構造異常はないか?)、

腹腔内リンパ節の腫脹(リンパ節が腫れていないか?)などを確認します。

また、消化管構造の異常が、部分的もしくは全体的に認められるのかによって

内視鏡検査の範囲を決定します。

異常が上部消化管(十二指腸領域)のみに認められた場合、上部内視鏡検査(胃カメラ)を実施し

異常が下部消化管(回腸〜大腸領域)にも認められた場合、下部内視鏡検査(大腸カメラ)も追加で実施します。

内視鏡検査

全身麻酔下にて、上部/下部内視鏡検査(胃〜十二指腸/大腸〜回腸の画像検査)+組織生検(消化管粘膜の一部を採材)を実施します。

上記した様に、超音波検査にて上部消化管のみ異常が認められるケースと下部消化管にも異常が認められるケースがあります。

画像検査、現状の症状に合わせて必要な検査範囲をご提案します。

また、採材した消化管粘膜は病理組織検査を実施し、病態の確定診断を実施します。

               ※消化管粘膜浮腫が認められた内視鏡検査画像 

                 病理組織検査結果:小細胞性リンパ腫

3.治療方法

犬、猫ともにプレドニゾロン(ステロイドの内服)+クロラムブシル(抗がん剤の内服)を

併用した化学療法を実施します。

                  クロラムブシル(LEUKERAN ®︎)

                  プレドニゾロン(プレドニン®︎錠)

猫の小細胞性リンパ腫の治療は、上記の治療方法が確立されており、

治療中の副作用等(食欲不振、嘔吐など)もほぼ認められる事なく日常生活を送ることが出来ます。

一方、犬の小細胞性リンパ腫の治療は現時点で、猫と同治療が推奨されていますが、

一部の犬種(柴犬)における治療反応が乏しい場合が存在します。

その際は、注射薬の抗がん剤を使用した化学療法を実施します。

化学療法実施後は、定期的に血液検査の必要性がありますが、

検査頻度は、1ヶ月に一度(開始直後は、投薬後2週間)を予定しています。

4.予後(治療後の見通し)

犬、猫における小細胞性リンパ腫の平均生存期間は約3年と報告されています。

あくまで、平均的な数字ですので、初期治療が奏功した場合

より長い生存期間を得ることが可能です。

また、病態発見および治療介入が早い場合、より長い生存期間を得ることも期待出来ます。

犬、猫の小細胞性リンパ腫の治療において、如何に初期の病状で診断、治療が開始出るかによって

その予後に大きく影響します。

「食欲不振や下痢で腫瘍ではないだろう」と安易に考えることなく

確実な診断と治療を当院ではご提案いたします。

詳細は、当院までご連絡下さい。

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